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やー、最近、良く見かけますよね。某大物声優さん。
やたらと耳に残るあの言葉。
昨夜は盛大にカミングアウトしてらっしゃいましたけども。
それみてたら、降って来ちゃったので、衝動的に書いてしまいました。

世間じゃ騒然となってるようですが。
どうしてカミングアウトしたのか、その理由がなんつーか、よかった。

それはさておき。

本当に下らない話ですが↓に。
おまけに、カカっさん変態風味です(まぁそうなるわな・・・遠い目)
ぶどうパンは出てきませんよ!


※拍手ありがとうございます!コメントはまた改めてさせてくださいーー!!

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「おい、イルカ、お前行けって!」
「何で俺が……勘弁してくれよ」
 給料が入った翌日の金曜日、イルカは同僚達と飲んでいた。いつもは侘しい一人の夕食も、懐が暖かくなればこうして仲間と酒の席を囲むこともあるからそれはいい。
「お前カカシさんと接点あるだろう」
「んなもん、大した接点じゃねーって!」
 話しかけるくらいなら何も問題はない。世間話の一つでも振れるくらいの接点は持っている。問題は、視界が捉えているカウンターに座っているその上忍についての話題の内容だった。
 はたけカカシはホモなのか。
 それがこの席での専らの話題だからイルカは困り果てていた。そんなものは個人の自由だから他人が詮索するべきことではない。だが人間とは厄介なもので、マイノリティに対する不躾な興味というのは、時に無駄に増幅されて対象者を傷つけたりするものだ。
「お前、どっちだと思う?」
「そんなもん、俺はどーでもいい」
「えー、つまんねぇ。だってよ、あの人しょっちゅう女と歩いてんのに、この間俺聞いちまったんだ……」
 話題を止めない同僚は、そこまで言ってどこか気まずそうに口篭る。
「なにを」
 仕方がないから水を向けてやったら、
「いいから! とにかくお前行って探って来いって!!」
 殊更に勢い良く言い募られた。
「い・や・だ」
 取り合わないまでも、はたけカカシがこの噂に関してどう感じるのかは別だろう、とは思う。あの上忍はそんな噂をいちいち気に留めたりするとは思えないくらい、いつも飄々としているからだ。
「よっし、今度可愛い子紹介してやる!」
「……いらねぇって」
 もう一人の同僚の提案に、気乗りしない体は装ったが、イルカの頬はひくりと動いてしまう。彼女いない暦ウン年の寂しい一人身を呪わずにいられなかった瞬間だった。

 

 数分後、イルカははたけカカシの横に座っていた。こんばんは、ご挨拶遅れてすみません、と声を掛けに行ったらちょっと座りません? と誘われてしまったのだ。
 同僚達の目論見どおりの展開ではある。酒の席の戯れに、真実を見極めればいいのだから。
 だが、イルカとしては、そっけなくあしらわれてすごすご席に戻る目算が外れた事になる。
 とりあえず、世間話で間を持たせている間、カカシは何が楽しいのか、すこぶる上機嫌に見えた。同僚達の好奇の視線が痛かった。
 そろそろ本題に入れ、というプレッシャーがイルカの背中に圧し掛かる。
 ここまできたら、本気で可愛い子を紹介してもらおうと決意しながらイルカは覚悟を決めた。
 ただし、自信はまったくない。
「それにしても、カカシさん、お一人で飲まれるんですねぇ」
「ええ。飲むのは大抵一人ですね」
「そうですか……。や、カカシさん、素敵な彼女いらっしゃるのに」
「彼女?」
「え、ええ。俺しょっちゅう見かけますよ」
 ……いっつも相手が違うけどな。
 そう。果たしてイルカ自身もその姿についてはよく見かけていた。ただし同僚の言ったその先は知らない。
「あー、それ違うんじゃないのかなー。たまにはそういうのもあるかもしれませんけど、イルカ先生だって女の人と歩くことあるでしょ?」
「ええ、まぁ……」
 まぁ、たまにはある。あるということにしておこう。
「ふふ、それにねぇ……」
 言い聞かせるイルカの横で、カカシの曝された右目が綺麗な弧を描く。それから、カカシは目の前の銚子を手に取った。さっき店員に持ってこさせたイルカの分の猪口に酒を注ごうというのだ。慌てて掲げ持ってから、イルカは妙な違和感を覚えた。カカシの身体がやたらに密着しているからだ。
 酒の席だ。これくらい大したことじゃねぇ。
 得体の知れないものを感じながら、イルカは酒を喉に流し込む。
 さて、この後どうやって切り込んでいけばいいものか。
 すっかり役目に嵌ってしまったイルカが、思いつかない思考をめぐらそうとしたら、カカシがおもむろに口を開いた。
「こういうのをね、期待してたわけですよ……」
「は?!」
 カカシの言葉が理解できなかった。いったい何を期待するというのだろう。
 頭の中に盛大にクエスチョンマークを飛ばすイルカの前でカカシの隻眼が不気味に細められて、背筋が薄っすら寒くなった。
「教えてあげましょうか。先生達が知りたがってること」
 言いながら、カカシの手甲を嵌めた手が、膝に置かれたイルカの拳を包む。
 まさかっ。この人、マジで!? つーか、ばれてた!?
「え!?えっ、いや、あのっ」
 冷たく乾いた指の感触に、どっと嫌な汗が吹き出した。だいたい、この歴戦の上忍が見破れないことなどないとどうして気がつかなかったのか。
「あの、カカシさんってほんとはそっち系の――」
 己の浅はかさを呪いながら、だがあれだけ渋っていたはずの質問は、まさに直球でイルカの口から滑り出ていた。ここまでされてしまったら、自分の身を守るには致し方のないこととは思ったけれども。
 っていうか、なんで俺……!?
 一番の疑問はそこだったが、カカシはまた右目を弓なりにさせて、それからぱっと手を離してしまう。後は何事もなかったかのように猪口を手に遊ばせている。
 それ、どーやって飲むんだろう……。
 口布をしたままの横顔を眺めながら場違いにそんなことが頭に浮かぶ。カカシのカウンターの向こうをぼんやりと見遣る眠たげな眼からは何も読み取れない。
「あ、あの、カカシさん……?」
 やはりさっきの質問はタブーだっただろうか。ならば何故ぜあんなことをしたのかがわからない。
 わけのわからない不安に駆られて名前を呼んでみれば、
「あー、俺ねぇ、グレーゾーンだから」
 カカシは突然、まるで後ろで様子を見守る同僚達にも聞こえるようなはっきりした口調で宣言した。
「はい!?」
 だがその口調とは裏腹に、グレーとは即ち、白か黒かはっきりしないということだ。全く答えになっていない。
 いや、待て。
 イルカは気づく。噂を否定しないことがそもそもおかしいのではないのか。ホモでないならば、はっきりそういえば言いだけのことだ。だとすれば、グレーゾーンなどと表現するこの人の意図は何なのだ。
 己の思考に固まるイルカの耳元に、すっとカカシの顔が寄せられる。まるで同僚たちに見せ付けるように。
「イルカ先生が、俺になびいてくれたらはっきりしますよ」
「いやいやいやいやいや! ないですないです!!」
 イルカはカウンターから飛び退いた。耳に絡みつくような低い声にぞっとして、心臓がばくばく音を立てている。
「あー、そう。それは残念」
 ちっとも残念がっていないように見えるのは、単にこの男が自分をからかいたかったのか。
「し、失礼します!」
 勢い良く頭を下げて、イルカは同僚達の元へと踵を返す。
 ……とりあえず、アイツらには言えねぇ。
 こんなことを言ったら、それこそからかいの的になる。
 だがイルカが、にやけた顔で自分を迎え入れる同僚達を視界に捉えて、とっくに手遅れだと知るのは数秒後のことだった。


 

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